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JSR CAMBODIA ’19 ⑧ – サムボー村井戸建設プロジェクト

『 しあわせとは、「なる」ものでなく「気づく」もの ー

2019年2月21日(水)、サムボー村での午後ー

チョムナンさんのお宅で、ママさんの手料理をいただいた後、
これまで設置した井戸がちゃんと稼働しているか、視察へ出かけた。

井戸を見て回るー

現在、サムボー村の井戸は増減を繰り返しながら21基の井戸が稼働中。

井戸一基につき20〜30世帯の村人が生活用水として利用している。

はじめに向かった先は、最近出来たばかりの井戸。
CNLのホームページの提供でお世話になっている株式会社マグネッツさんに寄贈してもらった井戸。

さっそく水がでるか点検してみるが、少し水の出が悪かった。
水を流し込みながら、汲み上げること3分ー

出てきた(!)

満面の笑み

我々が行った2月のカンボジアは乾季ー

この乾季の時期(11月上旬〜5月中旬)、
カンボジアでは全く雨が降らないためどうしても井戸は枯渇してしまい、
手動式の井戸ではなかなか水が出てこないのだそう。

…井戸の設置活動を行なってわかったことは、
たとえ手動式の井戸を設置しても、
乾季になれば井戸は枯渇し、水の供給が不安定になるということー

そこで現在は各井戸にモータを取り付けられるよう再工事をすることに。
昨年の寄付金で、各井戸を順次アップデート中とのこと。

各井戸にモーター(1台$100/約11,000円 ※2019.5月現在)を取り付けることで、
地下から強力に水を吸い上げ、安全な水の供給が一年中安定してできるようになるのですー

家族の皆さんはそんな井戸ができてとても喜んでいました。

『昔は川に水を汲みに行って本当に大変でした。
この井戸はまだ完成したばかりなので水は濁っていますが時間が経てば落ち着きます。
井戸を設置していただいたことにとても感動しています。これはとても大きなご恩です。』とお父さん。

喜んでいただいて本当に何より。

井戸も進化中。

続いてやってきたのは、毎年CNLを応援してくださる
福岡の人気100円クレープ【Pao Crepe Milk】さんが寄贈された井戸。

こちらの井戸は進化系。
取っ手の付いた手動式の井戸ではなく、初めからモーターで吸い上げるタイプの井戸。
見栄えは決して良いとは言えないが、しかしとても実用的。

これまで往復30分かけて川に水を汲みに行くことを繰り返し行なっていたが、
これからはモーターのスイッチ一つで簡単に水を貯められるようになった。

さらにはこれまで勿体なくてできなかったいのちの水植物にまでまくことができるようになったそう(!)

『水がないことが本当に問題でした。この井戸は村の集落みんなで使っています。本当に有り難い。』と、お母さん。

【CANDLE NIGHT LIVE】の収益で設置した井戸。

こちらもモーター式井戸。
この井戸で一基$250〜$300(約27,610円〜約33,132円 ※2019.5月現在)で設置。
金額の違いはモーターの大きさの違いとのこと。深さはいずれも同じ30~40m。

モーターにかかる電気代は、水を使っている家族で
少しずつ電気代を出し合い、井戸を維持しているとのこと。

井戸ができたことで、村内に新たなコミュニティが生まれつつあるようです。

国際仏教交流チーム【JSR】でも、
カンボジアでの活動10周年を記念して寄贈した井戸。

昔の手動式からモーター式にアップデートされていた。

お家の庭に生えた植物に水を撒く。
…当たり前のようで、当たり前でない、贅沢な水の使い方が可能になったと喜んでいた。

また、粉塵が舞う道にも水をまくことで埃を軽減できるようになったとのこと。

未だ水道が通っていないサムボー村。その理由ー

以前から『あと2〜3年後にはサムボー村にも水道が通る』
と言われていたが、現在に至ってもサムボー村に水道は通っていない。

そこには政治的な理由があるようだ。

昨年行われたカンボジア国内での総選挙ー
サムボー地区はフンセン率いる与党が大敗し、野党が勝った地域だ。
現在、支持政党であった野党は解散し与党になったものの、
反旗を翻したとみなされたサムボー村は、
政府からの支援がすべて後回しになってしまったとのこと。

以来、水道が通る話も頓挫。現在は村への支援がストップしている状態だという。

…どこの国でも、インフラ整備は政治の力に大きく左右されてしまうのですね、、。

…そんな状況だからこそ、
私たちの草の根的井戸建設プロジェクトは役立っているようです。

本当の「豊かさ」ってなんだろうー

最後に向かった井戸ー

こちらの井戸は地質的に条件がいいのか、
雨期・乾季に関係なく水がよく出るとのこと。

井戸を利用しているが家族みんながでてきて、井戸を囲みハイポーズ!

素敵な家族の笑顔ー
彼らの表情をみていると、本当の幸せってなんだろうか?と、考えさせられる、、

彼らと接していると、
本来「幸せ」とは、「なる」ものでなく「気づく」ものなんだと改めて思う。

私たちの物差しでこの村の人たちをみると、
「貧しい生活」、「可哀想な生活」と見えるかもしれない。
しかしこの村の人たちが今の生活を皆不幸に思っているかといえば、そうではない。

慎ましい生活の中に「人と人とのつながり」や「ぬくもり」、「家族の幸せ」が沢山あって、
彼らのその表情や笑顔は、もしかしたら私たちよりもキラキラしていて豊かかもしれない。

日本は「物質的な豊かさ」ではカンボジアの数倍豊かであることは間違いない。
しかし「心の豊かさ」で言えば、もしかしたらこの村の人たちの方が何倍も豊かなように思う。

…そうすると、本当の「豊かさ」って何なんだろう。

そんなことを思った。

今年も寄付を渡してきましたー

今回も様々な方からお預かりした浄財を
サムボー村を代表し、チョムナン氏へ預けてきました。

昨年、研修会にてお預かりした東海教区員弁組 門信徒の皆さんのご寄付をはじめ、
福岡教区那珂組 養行寺さん、西林寺ご門徒の土斐崎さん、熊本の川井さんからのご寄付を預けてきました。

これらのご寄付は、現在進めるモーター式井戸の改修工事代として、
そして井戸の設置・維持費として使用されます。

尚、昨年のCNL’18収益については、今夏CNLスタッフで直接サムボー村へ届けに行きます。

最後に、これまでご寄付をいただいた関係者の皆さん、
CNLにお越しいただいている皆さん・関係者スタッフに村長さんから伝言を預かりました。

『日本の皆さんからの寄付によりできた、たくさんの井戸は村の者みんなで使っています。
私たちの村は水がないことが本当に問題でした。
井戸を提供していただいたご恩は一生忘れません。
このご恩はとても返しきれないことです。本当に感謝しています』と、村長さん。

私たちの活動は、「ボランティア」というよりは、
仏教のみ教えで言うところの『自他一如』の活動。つまり『困った時はお互い様の活動』です。

これからも、無理のない程度に、
自分たちができる範囲で、継続して行なっていきたいと思いますー