2013年2月4日(月)、
朝から国立病院~愛センターをまわった後、宿でバタバタと法衣に着替えて僧院へ向かう。
今日は、カンボジア国民から深く敬愛されたシアヌーク前国王の国葬最終日。
チョムナンさんとボットンバッタイ寺で待ち合わせをし、
まずはチョムナンさんの計らいで彼の友人僧侶と共に食事へ。
有り難く食事をご馳走になった後、再びチョムナンさんの僧院へ戻る。
金の喪章バッチ・・・ この日、国民のほぼ全員が白黒の喪章バッチを着用していた。
しかし、この金の喪章バッチは、世界各地から慰問に訪れた各国首相、王族関係者、
そして、国葬を中心となって務める僧侶だけが付ける事を許されるVIPバッチ。
・・・チョムナンさん、やっぱりアナタはすごい人なのですね….
すると、隣にいたチョムナンさんご友人、、
『アタシも、アタシも。』
・・・えぇっ!!?…それは失礼致しました。。。
急転直下、今回の国葬御導師…” ボンキリ僧王 ” との謁見が決まった。
…カンボジアへ行くことが決った当初チョムナンさんは、
『ボンキリ僧王はこの日、とても忙しいため、残念ながら今回はお会いするのが難しいかも…』
と言われていた。
状況が状況だけに、今年は諦めていたつもりだったが、急遽お会いできることに、、。
本堂へ入ると、中はただならぬ緊張感、、、
ボンキリ僧王ー カンボジア仏教界の最高指導者で国王の教育係。
今回は2度目の謁見になるが、僧王のお顔はこれまでに見たことのない厳しい表情で、
数時間後に迫る葬儀の打ち合わせをされていた。
…冷静に考えれば、このような状況であることは当然だ、、。
『今日はお忙しい中、このようなお時間を戴き大変恐縮しております。
この度のシアヌーク殿下のご逝去に、我々も同じ仏教徒として、
悲しみに暮れるカンボジア国民の皆さまと共に寄り添い、お参りさせていただきます。』
僧王のお顔は、先程の厳しい顔つきからだんだんと柔和な表情に・・・
同じ仏教徒としてこの日のために来ていただいた外国人は、もう一団体とあなた方だけです。 本当に有り難く思います。』
・・・。 ほんとですか(汗)、、
寒かった思い出など、穏やかな表情でお話し下さった。まさに『 和顔愛語 』。
お忙しい国葬数時間前にもかかわらず45分もお時間を割いていただいた。
『仏教のみ教えは、国によって教義の解釈や スタイルもそれぞれです。
しかしそれは、 木に例えるなら枝葉のようなもの。根っこの部分、根幹は同じです。
これからも、カンボジアと日本の仏教の絆を深めていきましょう。』
・・・なんとも有り難いお言葉でした。
そして僧王、、、
『このバッジは国賓の方にお渡しするVIPのバッジです、これをあげましょう』
各国の首相大統領、 王族関係者が胸元に付けることを許されるあの喪章バッチ・・・
今回訪問させていただいたメンバー、そしてスタッフ全員にも戴き、、
特に今回通訳をしてもらったカンボジア人学生のヌットちゃん、ラカナちゃんは一国民として金バッヂを戴き感激も一入。
ラカナちゃん:
『まさか私たちまで戴くとは、、帰ったらおばあちゃんにこのバッヂを渡したいです。』
最後は僧王とメンバー全員で記念撮影。
本当に有り難い、、有ることの難しいご縁でした。
PM 3:00 –
さすがに式典中、王宮の中へ入れるのは、各国首相と王族関係者のみ(日本から秋篠宮さまが出席) 。
軍や警察に守られていた各国VIP方・・・我々の日本代表団SP(笑)。
・・・それにしても、どこを歩くにも、今まで見たことのない日本の僧侶、
それも髪の毛がある浄土真宗僧侶の姿に、カンボジア国民の視線は釘付け。
『…今、カンボジア人が皆さんを見て、
“ 王さまのために、わざわざ日本からお坊さんが…嬉しいなぁ、、”という声が聞こえてきましたよ。』と。…(涙)。
・・・もうそれで充分だった。
…日本からやって来た名もなき愚僧が、こんなあり得ない経験の数々、、。
葬儀は3時間に及び、我々は途中で引き上げた。
最後は夜空に、悲しみの大砲花火が数十発放たれた。 美しかったけど、どこか物悲しくズシンとした響き、、。
縁もゆかりのなかったカンボジアへ行きはじめて11年目ー
まさか、こんな形で… プノンペンの夜空を見上げている自分が不思議だった。