2015年8月22日(土)PM2:30ー
小学校の子ども達を見送った後、村じゅうの井戸の経過を見てまわることに。
学校の井戸は、前回6月に行った時よりも水の出が良くなっていた。
井戸は、乾季や雨季によって水の出が大きく左右されるという。
ちょうど8月は雨季。村の人々にとっては水が安定して出る良い時期だそうだ。
井戸の隣で自撮り棒を使いこなすLilyさん。
続いて向かったのは学校から車で5分、森の中の集落にある去年整備された井戸。
ココは、三年前からJSR(お坊さんチーム)に加わって一緒に活動している、
大岩メタルワークス・中島さんと、平安社寺建築・石渕さんがオーナーの井戸。
基本、維持管理はオーナーにお願いしています。(笑)
水の出具合をチェック。 井戸の深さはそれぞれ50〜60m。
チョムナンさんの口利きで現地の井戸掘り業者に依頼。
井戸を取り付けると、さらに周囲も土を盛り上げて整地し完成。
…これで井戸一基につき現在$230(約27,600円)。 ※2015年8月 $1=120円
状態はとても良い。
井戸視察4基目は、チョムナンさん実家の隣に出来た、一番新しい18基目の井戸。
現在「雨季」のため、コンクリートを流し込んで整地すると、
雨で流れてしまうおそれがあるため、工事は敢えてこのままでストップしているという。
水の出はとても良い。
しかしまだ”開通”して間もないため、若干の濁りがあった。
このプロジェクトを立ち上げた2012年、当時は1ドルが80円の時代だった。
チョムナンさんも当時は高僧であったし、僧侶として故郷の村の助成金を使うこともできたので、
一基につき$200(16,000円)で完成していた。
しかし現在は、「僧侶」としての助成金を使うことができない為、井戸一基につき$230(約27,600円)となっている。さらには場所や地形によって、整地するためには砂や石を多く使用しないといけないため、$230かそれ以上かかってしまう場合もあるそうだ。
・・・そういった意味においては、
1ドル=80円の時代に井戸を多く設置できたのは本当にグッドタイミングだった。
続いて、この村の第一号井戸へ。
この井戸は乾季・雨季と、時期によって大きく左右され、
乾季時にはほとんど水がでなくなってしまうのだが、、今回は良好。
元々、村の人々の一般的な水の確保は、各家の雨どいの下にそれぞれ水瓶が設けてあり、
雨水は雨どいを伝って、この水瓶の中に貯まるようになっている。
水瓶に溜まった水は、そのまま2〜3日放置し、不純物を沈殿させてから、
その上水をとって料理や生活用水として使用している。
飲み水として使うには、ここからさらに沸かして使うのだそう。
・・・しかし衛生的には決して良いとは言えない。
この村に井戸を設置し始めて三年目。今、村に変化が起き始めている。
第一には、村の子ども達が『水汲み労働』から解放されたこと。
日本では聞き慣れない『水汲み労働』という言葉ー
カンボジア農村部では、近くの川や池に水を汲みにいくのが女性や子ども達の仕事。
往復30分の水汲みを、何往復もして水瓶を一杯にする。
この仕事があることによって、子ども達は学校に行けないこともあったのです。
そんな重労働が、井戸の設置によってサヨナラなのです。
これによって、より多くの子ども達が学校に通えるようになった。
そして第二の理由は、乳幼児の死亡率低下に結びつくこと。
これまで小さな子ども達や妊婦は、川や池の泥水を飲んでお腹を壊す、あるいは病気になり、
死に至ることもあった。それが、井戸の設置によって以前よりも病気にかかりにくくなった。
現在、首都プノンペンには北九州市水道局の技術協力により「プノンペンの奇跡」と言われる、
蛇口から安全な水を飲むことができる水道網が張り巡らされている。
・・・この水道網がサムボー村にもやって来るまで、、なんとか見守り続けられたら、、
チョムナンさんの自宅近所では、
一家総出でトウモロコシを脱粒機にかけるお仕事。
子ども達が一生懸命、お家の仕事を手伝っていた。
削がれた大量のトウモロコシの芯。
この芯は捨てず、乾燥させて料理で火を焚く際、薪の代わりとして使うそうだ。
チョムナンさん:『畑にある井戸も見に行ってみましょう!』
民家の裏庭に入っていくと、、
牛や豚、、最終的には食用として食べる。
広大な畑にはトウモロコシやきゅうりなどが栽培され、草木が青々と生い茂る。
広大な畑をみつめるチョムナンさん。
チョムナンさん:『この井戸は畑専用の井戸デス。
私たちだけでなく、村の人みんなが畑で栽培するのに使用しています。』
6月に完成したばかりの井戸。
こちらも現在雨季の為、周りは整地せずそのままで工事はストップ。
畑の井戸には、強力モーター式ポンプも取り付け、広大な畑に水が供給されている。
・・・それにしても、みんなで再びサムボー村にやってくる日がくるなんて、、、
地道にひとつひとつ積み上げてきた、経験と活動の賜物ですー村のメインストリート。
中野くん、、あやまって泥水の中に足突っ込む、、
しかし、そんな時も大丈夫、、
だって井戸があるから!!!(笑)
・・・そして、最後の井戸視察はー
今年6月、この井戸プロジェクトを始めて3年目で建設10基目を突破した事から、
これまで【キャンドルナイトLIVE】に関わってくれた全スタッフの名前を刻み、この村に納めた。
2012年5月、CNLの仲間内で発案したことからわずか2週間で現地で工事が立ち上がり、
翌月6月には第一基目、2基目が完成。
2015年10月現在、井戸はたった三年間で10基どころか20基目、21基目がすでに建設中だ。
大事なことはスピード感。あれこれ頭で考えるよりも、即行動に移す事。
そして、無理しない程度に、自分が出来る範囲で、継続した活動として行うことー
井戸建設は、学校支援と同じように『設置したら終わり』ではなく、
その後もメンテナンスや修理など、注意深く見守る必要があるということ。
そして、井戸一基を使用する人々でコミュニティを形成し、
もし井戸が壊れた時にはみんなで積み立てたお金で修理(約$50)していくー
そんな組織づくりを促し、形成されるまでは、建設した側が責任を持って見守る必要がある。
そうでなければ「耐久年数2〜3年」のカンボジアの井戸は、
修理されず朽ち果てて終わりなのです。
今回も昨年の【CNL’14】収益から10万円を、また、照順寺さん、川村氏より
お預かりした浄財を井戸建設および維持費として寄付させてもらいました。
・・・寄付金の額自体は大したことないかもしれないけれど、
それ以上に続けることに意義がある。
例え小さな組織でも、仲間で力を合わせれば、村一つを変えることだってできる。
また二年後、 CNLの仲間でやって来れたら良いな、、。
その時は『キャンドルナイトLIVE』も10周年の記念の年。・・・次の目標にしたい。
また会いましょう!サヨナラ!!!
・・・渡し舟を待つ間、、本当に心地良い時間だった。
今日一日の行程を終えたことの安堵感と心地良い疲労感、、また次への目標も見えてきた。
カンボジアへ来始めて14年目になる。
いつもここへ来て思うことは、僕らは聖人君子でもなんでもないし、
自己犠牲の意味合いが強い「ボランティア」という言葉も、自分たちにはしっくりこない。
日本には古くから『お互いさま』や『おすそ分け』、『恩返し』という感覚がある。
僕らの活動は、『ボランティア』ではなく『応援」。『ヘルプ』ではなく『サポート』。
困ったときは『お互いさま』。楽しむ事を前提に、それをいいことにつなげる ー
お疲れさまでした。