[ 前回つづき ]チャムナンさん宅での村の村長方との対話を終えた後、
当時の地元価格でプレート込み1基200ドル。(約16000円 ※1$=80円)
この「深さ」というは大切で、約10mでは雨水がしみ込んだ層でキレイな水ではない。
井戸は30m以上は掘らなければ、豊富でキレイな水は出ないという。
井戸の下に付いている水色の器具はモーター式ポンプの接続口。
水の出が悪くなるとポンプで強力に水を吸い上げることができる。
この時期は乾期だったため水の出はイマイチだったが、これから雨期になれば問題ないそうだ。
まだ一週間前に完成したばかりなので整地等はこれから。
現在水の出はサムボー村の井戸でも一番良いのだそう。
私達だけでなく村人全員がよく使う井戸になると思います。』
器具自体はユニセフによって作られたもの。
カンボジアの井戸は「Made in 〇〇」によって耐久年数が決まる。
国内で流通している井戸で最も耐久年数が高いものが『インド製』。・・・それでももって『三年』。
一般的な井戸になると『ベトナム製』や『カンボジア製』で、耐久年数は『一年』という、、。
サムボー村では予想通り、これまで設置した井戸の古い順から故障が起き始めている。
取っ手部分が破損したり、水の出が悪くなったり、、
あるいは子ども達が井戸の中へ砂利を入れて遊ぶ事により蛇口が詰まるなど、、。
・・・でもそれはすべて想定の範囲内。井戸の故障はいつか必ず起きること。
だからこそ井戸建設で最も大事なことは『設置したら終わり』ではなく、
当分はその後のメンテナンスや修理など、注意深く見守る必要があるということ。
定期的なメンテナンスと修理によってこそ、井戸は長く保つことが可能なのだ。
ちなみに故障した井戸の修理費は現地価格で5000円くらい。
「5,000円」と聞けば安く感じるかもしれないが、村人の年収は5~10万円程度。
基本的には自給自足の静かな生活を送っている人たちだ。「5,000円」は大金なのだ。
・・・そんなことから、一度井戸が壊れると修理されずに「一生放置」となることが少なくない。
その上水をとって料理やお風呂など、生活用水として使用している。
飲み水として使うには、ここからさらに湧かして飲むのだそう。
井戸の設置により、暮らしもずいぶんと楽になったそうだ。
広大な畑を横切り、次なる井戸へ。
彼は元日本の地雷撤去団体で働いていた経験があり、タイ国境付近では
地雷の撤去および井戸建設にも関わったことがあるという。彼の実際の目で見た
この村の井戸のクオリティーはどんなものか?率直に聞いてみたいと思っていた。
彼が思うこの村の井戸の状態は、思っていた以上にちゃんとしたものだったと言う。
・・・ただ、井戸の今後を長期的な目線で見てみると、
『皆さんの支援がもし今後離れたとしても、村の人たちで井戸が維持できるように、
井戸一基につき何世帯が使用しているかを明確にし、いつかは井戸を使っているコミュニティで
修理費をプールしたり、、そんな組織をつくる必要があると思います。』
・・・次の課題は、井戸を使用している人々での組織作り。「5,000円」のメンテナンスは
決して安いものではないが、最終的には村の人たちで組織が形成出来れば、、。
次回村を訪れた際には、そんな話も村長さんやチョムナンさんとできればと思う。
近所の子ども達が、勢いよく水が出るところを見せてくれた。
井戸の設置は、これまで病気にかかっていたものにもなりにくくなるということー
井戸が無い場合、近くの川や池に水を汲みに行くのが女性や子ども達の「仕事」。
この「仕事」があることによって、子ども達は学校に行けないこともあるのです。
患者さんに水を提供する大切な場所ということで、、
・・・申し訳ないながら、数年間放置されたフランス井戸、撤去。(笑)
新たに設置し直した井戸で、患者さんにも再び安全な水が提供できるようになった。
その帰りに私のお寺へ泊まりに来た際、キャンドルナイトの仲間を紹介し、
『故郷の村はどんな村なのか?』という話題になった。
みんな:『え”-!?ちなみに井戸っていくらですか?』
チョムナン:『200ドルくらい。』
みんな:『本当に!?じゃあ、ココにいるみんなでとりあえず井戸1基作ってみようか?』
と急遽、そこにいたメンバーでお金をかき集め、チョムナンさんに手渡したのが全ての始まりー
それから三週間後、元々予定していたJSRの仲間でサムボー村を訪問してみると、、
井戸は本当に完成していたのでした、。
今ではCNL、JSRをはじめ、有志のお寺さんやご門徒さん方からたくさんの
ご支援を頂くようになり、今ではお陰様で15基目の井戸が完成するまでになりました。
こうしたことが実現できた背景には、たまたま周りに素晴らしい仲間達がいて、
ひとつのアイデアを「面白い!」と思える柔軟な姿勢、
同じ価値観を共有できるメンバーに囲まれていたからこそ出来たのだと思います。
また、今回が「JSR」でのカンボジアの活動『10周年目』を記念して、これまで
プロジェクトに関わってくれた全てのCNLスタッフ、JSRの仲間達の名を刻み、プレートを作成。
このプロジェクトがもたらした村への変化を、とても感じることが出来ました。
井戸水によって子ども達の病気が減り、水汲み労働を無くすことに少しでも繋がってもらえたらー
これからも無理をしない程度に、自分達ができる範囲で、継続した活動を行っていきたいと思いますー